広告屋の異常な愛情

~または私は如何にして心配するのを止めてタバコを愛するようになったか~

広告代理店に未来はあるのか。~前編~

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こんにちは。

メリークリスマス。さてクリスマスと全く関係ありませんが、本日、DIGIDAYにこんな記事が。

digiday.jp

 

プログラマティック運用にエージェンシーは欠かせない」

とタイトルにつけられておりますが内容よくよく読んでみると、ちょいと違いますね。

一部引用。

企業側も、テクノロジー企業とパートナーシップを組むだけでは足りないと感じている。データサイエンティストをスタッフとして雇用し、すべてのバイイングプラットフォームと関係性を築く必要性があるためだ。

 ここを読む限りだと企業側はインハウスで進めたい希望はあるのですね。しかし、

 「私たちには、アドテク企業とパートナーシップを組んでいるが、その管理を依頼したいという顧客が多くいる。なぜなら、私たちにはアドテク企業を管理する専門性があるからだ。メディアを最適化し、特定の顧客を広告のターゲットにする賢い選択をデータから得ることができる」と、情報筋は話す。

業界内の多くの企業が、このハイブリッド的手法を取り入れている。ブランドがアドテク企業とパートナーシップを組むが、管理や執行はアドテク企業のエージェンシーに任せる方法だ。

とある通り、今は専門のスタッフを雇用が進んでいなく、エージェンシーに頼らざるを得ない現状があると。正確なタイトルは、

プログラマティック運用にエージェンシーは(今は)欠かせない」

ですね。

 

広告代理店に任せるか、インハウスにするか。

上の記事はアメリカでの話でしたが、日本でも遠くない未来に多々出てくるでしょう。一部広告主では、リスティングアフィリエイト等の運用系広告の一部をインハウスで行っていたりしております。DMP導入に関してはSIerと直取引を行い、ディスプレイ広告の大半を代理店を通さずに広告配信しようという動きをしている広告主の話もちょいちょい出てきておりますね。しかし日本の広告主に関してその流れに乗っている広告主の数は少ないです。代理店を通さなかったら当然代理店にマージン払わなくてよいので費用対効果は必然的に上がるはずなのに。

では、なぜインハウス化が進まないのか。これには単純な話ですが、デジタルマーケティング予算を莫大に出せる広告主がまだ少ないという理由だけかなと思います。デジタルマーケティング予算が少ないと何故インハウス化が進まないかと言うと、

■アメリカと状況は同じく、専門スタッフの採用、育成が進んでいない。

 例えばですね、デジタルマーケティングにかける費用が月間1000万円の場合(仮に代理店マージンを10%としましょうか。)100万円分のメリットが発生します。さてこの100万円をどこに使うのか。

A:社内スタッフを使ってマーケティング予算に追加投入してみる。

B:その予算で専門スタッフを雇う。

 の2方向が考えられます。これ事100万円のメリットでは非常に非効率なのですよ。まず、『A』の場合ですが、社内スタッフVSプロの広告代理店でデジタルマーケティングを行う場合、高率を比較すると確実にプロの広告代理店が10%以上よい高率をたたき出します。それなら、当然広告代理店に任せた方がよいですね。

次に『B』の場合ですが、こちらの方がさらに難しい。100万円で専門スタッフを雇おうと思うと、年収800万円程の人材を一人しか雇えません。そのスタッフが全て対応できればよいのですが、そのスタッフが急病になる、もしくは退職するなどの人材リスクを背負う事になります。代理店に任せた場合はそのスタッフが急病、急退職しても代わりの人材を直ぐに用意してくれますよね。ここでもやっぱり広告代理店に任せた方がよい。A,B両方に関するのですが、『月間のマーケティング予算が多ければ』という条件付きでインハウス化するメリットが出てきます。月間のマーケティング予算が3000万円(月間利益300万円)を超えた位でやっと『B』でメリットがでるかもねー…位のイメージでしょうか。

■ソリューション導入にコストがかかる。

 DMPなどのソリューション導入を行うとすると、結構な金額が必要となります。こちら、例えばソリューションの月間コストが100万円だったとした場合。ソリューション導入効率が10%UPするというのであれば、月間1000万円以上のマーケティング予算をかけていないと、導入するメリットはありません。ソリューションに月間何百万とかけいるのに月額マーケティング予算が100万円とか、阿保みたいな事をする広告主なんていませんよね(見たことあるけど)

という理由で、まだまだインハウス化は進んでいないのが現状です。

 

それでもインハウス化が進むと思う理由

今までインハウス化が進んでいない現状を書いてきましたが、それでもインハウス化は今後進むと思います。その理由は以下3点。

①マーケティングソリューションの普及が進むにつれ廉価化する。

②企業の中小エージェンシー買収、または囲い込み化が行われる。

③WEBメディアの利益が上がる。

 

①マーケティングソリューションの普及が進むにつれ廉価化する。

 に関して。これは全ての職種、商品に当てはまるのですが、普及が進めば進むほど、商品開発コストの償却は進みます。結果廉価提供してもまったく問題なくなっていきます。現状まだ高いコストがかかっておりますが、今後は下がっていくでしょうね。

②企業の中小エージェンシー買収、または囲い込み化が行われる。

 ご時世ですが、広告代理店から独立してミニデジタルエージェンシーとして独立する広告マンはとても多いです。が。やっぱ皆そこそこ苦労しているのですよ。少規模なりのメリットもありますが、やっぱ会社経営って大変ですよね。売上あってもやっぱ現金回らないし。そういう会社を広告主が丸ごと囲い込む。この動きもちょいちょい耳にしますね。

③WEBメディアの利益が上がる。

 広告代理店というマージンが発生しなくなれば、そのマージンはどこに向かうのか。これは広告主とメディアです。もう代理店には広告枠下さない!というメディアが出てきても不思議ではありません。

 広告代理店に未来はあるのか。

明るい未来が見えません!!って事はないですけど、間違いなく苦しくはなるでしょうね。今後、デジタル分野で広告代理店は、競合代理店だけではなく、コンサルタントSIerとの闘いの場も増えていきそうです。こんな動き嫌ですね。本当に怖いです。

markezine.jp

その中で広告代理店はどうすればよいのか。これからは完全に個人的意見を述べさせていただきますが・・・と思ったのですが長くなったし、今日はクリスマスだし、後日にしたいと思います。

では。


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